足柄城砦群
| 第1回 現地踏査記録 |
| 日時 2003年8月23日 |
| コース 富士市(自宅)8:25 → 十里木街道 → 御殿場(川島田) → 国道246号 → |
| 萩原北 → 国道138号 → 市役所北 → 足柄街道 → 竹之下 → |
| 県道149号 → 金太郎・富士見ライン → 足柄峠 → 万葉公園駐車場9:45 → |
| 通り尾砦 → 矢倉岳ハイキングコース → 山伏平 → 矢倉岳11:15 |
| 参考地図 1/25000地形図(関本) 現地住宅地図(ゼンリン) |
| 踏査地点 通り尾砦跡 阿弥陀尾砦への尾根道 山伏平城郭機構 矢倉岳 |
| 行動記録 足柄峠までは国道246号御殿場から足柄街道を竹之下に出て金太郎・富士見 |
| ラインを登ってくる。足柄峠を地蔵堂方面に少し行くと足柄万葉公園に着く。バス |
| 停の隣に7〜8台くらいの駐車スペースがあるが、昼近くになると満車で駐車でき |
| なくなるので注意。 |
| 9:55駐車場の上が通り尾砦跡であるが、ここから北へ伸びる尾根に万葉公園が |
| 広がる。公園の東側を道標に導かれながらハイキングコースを辿る。 |
| 古楢尾・阿弥陀尾の両砦を左上に尾根の東側を巻いている道を行くと、尾根は |
| 阿弥陀尾砦跡で北と東に分かれているが、ハイキングコースは自然に東側の |
| 尾根上に出て矢倉岳方面に向っている。 |
| 10:20矢倉岳が見える樹林帯が少し開けた所で小休止。真上に送電線が通って |
| いる。ここからまた桧の樹林帯に突入するが、すぐに尾根は痩せてきて人工的に |
| 切ったような跡に出る。山伏平城郭遺構の西側の新堀である。しばらく遺構を眺 |
| めて堀底からさらに東に向かうとすぐにまた堀切に出合う。 |
| 10:35東側の旧堀の遺構であろう。新堀に比べて尾根はやや広く感じ、現状の |
| 深さもやや浅く3m位であろうか。 |
| 10:50山伏平から矢倉岳への分岐標識を過ぎ矢倉岳頂上をめざす。しばらく |
| 登っていくと桧はきえ低灌木帯に入る。登りは分岐からおよそ15分くらいだが |
| 結構きつく感じる。 |
| 11:15矢倉岳着。西に今きた尾根道とその向こうに富士山、南は金時山と箱根 |
| 連山、北には下の分岐から東に向かう浜居場城方面の尾根が一望できる。また |
| 東側はよく開けて矢倉沢の向こうに内山、関本の町並がかすんでいる。 |
| 11:50頂上を出発して来た道を引き返す。送電線の下をくぐり阿弥陀尾砦を探す |
| べく、巻き道から尾根に登ってみることにする。東側から砦跡と思われるコブ状の |
| 所までは、そのほとんどが薮になっていて全く見通しがきかない。送電線の下 |
| まで戻りやや薮の薄くなったところを強引に登ると鉄塔の下に出る。しかし、北側 |
| の沢筋は切れ落ち、おそらくこの西側の尾根上にあると思われたが、ここからは |
| 非常にルートを捜すのに困難だ。今回はやむなく断念して元のハイキングコース |
| に引き返す。万葉公園駐車場着13:00。 |
| 行動時間 約3時間 |
| 第2回 現地踏査記録 |
| 日時 2003年9月14日 |
| コース 富士市(自宅)6:45 → 十里木街道 → 御殿場(川島田) → 国道246号 → |
| 萩原北 → 国道138号 → 市役所北 → 足柄街道 → 竹之下 → |
| 県道149号 → 金太郎・富士見ライン → 足柄峠 → 万葉公園駐車場7:50 → |
| 通り尾砦 → 古楢尾砦 → 矢倉岳ハイキングコース → 山伏平 |
| 参考地図 1/25000地形図(関本) 現地住宅地図(ゼンリン) |
| 踏査地点 古楢尾砦跡 阿弥陀尾砦への尾根道 山伏平城郭遺構 |
| 行動記録 今回の目的は阿弥陀尾砦の位置確認と山伏平城郭遺構の測定にある。 |
| 8:00駐車場を出発し8:10万葉公園にある古楢尾砦に着く。通り尾砦から北に |
| 伸びる尾根筋の300m位の所にある古楢尾砦までは、万葉公園といい遊歩道・ |
| 樹木名札・万葉歌碑等がきれいに整備され快適な場所である。 |
| 古楢尾砦に上がると北西部がやや高くなり東側はなだらかな傾斜になっていて |
| 標高は758m・南北約30m・東西約25m程の曲輪面をなす。 |
| 北側土塁はあまりはっきりとはしないが、西縁部にある土塁跡は高さ2〜3mで |
| 東側に緩やかな傾斜になっていて、南側半分は幅が広くおそらく大沢側に対する |
| 備えとしての櫓台の機能を有していたものと思われる。 |
| 8:15古楢尾砦の北端部、半薮化した所に道がついていて入ってみるが、やがて |
| 道はだんだん不明瞭になり踏み跡を探しながら行く。とにかく尾根上のコブを2つ |
| ばかり越えたあたりが阿弥陀尾砦の位置であるから尾根を外さず辿ってみる。 |
| 桧の中に雑木と篠竹、薮が密生していて非常に進みにくい。やがて知らない間に |
| 下り斜面に突入していて西側の谷筋に迷い込んだらしい。 |
| 8:25早めに引き返すことにして、また必死に薮を漕いで古楢尾砦に戻る。阿弥陀 |
| 尾砦は次回にしてハイキングコースを山伏平に向かう。 |
| 8:45送電線の下をくぐりすぐ西側の堀切部に出る。山伏平にある2つの堀切は |
| 阿弥陀尾砦から北に伸びる丹土尾砦方面と分かれ、東に浜居場を通り内山に |
| 下りる尾根道にあり、矢倉岳の西670mの小ピークを挟んで東西に尾根をスパッ |
| と切ったような遺構がある。 |
| 関所堀と呼ばれているこの2つの堀の東側が旧堀、西側を新堀としている。新堀 |
| は山北側が一ノ沢、南足柄側が矢倉沢の支流が尾根上まで達し、そこは竪堀状 |
| の様を呈している。 |
| 計測すると堀底の幅約2.8m、深さ西側1.8m、東側4.0m、尾根幅3.6mで |
| あった。かなりのヤセ尾根部分であるため崩壊が激しく当時からはかなりの数値 |
| にズレがあるのは否めない。 |
| 8:55新堀から東に30〜40m程小ピークを巻いて着いたところが旧堀の遺構で |
| ある。堀底の幅約2.8m、深さ両側とも3.6m、尾根幅2.4mであった。ここも |
| 計測の基点が不明瞭なため概数としたい。 |
| 両堀とも堀切断面の層を見ると赤褐色のロームの上に堆積された火山灰層と |
| 表土であり、宝永の噴火の影響をまともに受けた地域であることから、かなりの |
| 地形の変化があったように思われる。 |
| 9:10出発して山伏平に向かう。7〜8分で矢倉岳への分岐に着く。 |
| 天正9年の北条氏文書「掟」を頭の中に入れて行動してみたものの、浜居場と |
| 足柄往還の道を辿り2か所の堀切を見ての想像で、引橋の架かりは何となく |
| つかめたような気がするが番屋の位置等全く見当がつかなかった。 |
| 行動時間 約1時間20分 |
| 第3回 現地踏査記録 |
| 日時 2003年9月27日 |
| コース 富士市(自宅)8:45 → 十里木街道 → 御殿場(川島田) → 国道246号 → |
| 萩原北 → 国道138号 → 市役所北 → 足柄街道 → 竹之下 → |
| 県道149号 → 金太郎・富士見ライン → 足柄峠9:50 → 猪鼻砦11:00 |
| 参考地図 1/25000地形図(関本) 現地住宅地図(ゼンリン) |
| 踏査地点 猪鼻砦跡 |
| 行動記録 足柄城址(足柄峠)から南に伸びる尾根の付け根の部分に猪鼻城虎口があり、 |
| その入口はやや広いスペースになっていて駐車場として利用されている。南足 |
| 柄の地蔵堂方面から登ってきた県道が万葉公園を通り足柄峠で二又に分かれ、 |
| 一方は金太郎・富士見ラインで小山町・御殿場方面に下り、もう一方は峠から |
| 南下して金時山を通り箱根方面に続く。 |
| 10:05駐車場を出発。車でもまだ入れるが、のんびりと車道を歩きだす。初めは |
| 尾根の上の快適なコースで、西側の御厨平野の景観を楽しみながらの30分で |
| ある。 |
| 10:35車道終点。ここは約10台ほど車を置くスペースがあり、ここまで車で来て |
| 金時山にハイキングする人が大勢見うけられる。車止めの柵を過ぎいよいよ |
| 林道に入る。ヤセ尾根の登り道の下は所々切れ落ちた個所もあり、また桧・杉 |
| の樹林帯で眺望もきかない。 |
| 車道終点よりおよそ30分登りつめると正面に金時山が聳え、標高962m地点 |
| の広場に出る。この登りきった所から南に約50m、東西約15mの平坦地が |
| 猪鼻砦跡である。北側から東側は小灌木と篠竹、南側は雑木林だが西側は |
| 全く開けていて愛鷹山から南方御殿場・裾野方面までずっと見渡せる。 |
| 県道(登ってきた林道)は砦の中心を通って金時山に続いているが、その東脇 |
| には高さは1m程ではあるが篠竹の中に土塁跡がはっきりと残っている。この |
| 真中を割って東側の尾根道を夕日の滝経由で地蔵堂へのルートが下りている。 |
| 標識と説明板を読んだ後、南側の一段下がった所に下りてみる。金時山への |
| 鞍部まで行く途中、東から南、西へとしっかり土塁にガードされていて、樹林帯 |
| の中には一抱えするほどの石が散乱しているが補強用のものであろうか。建物 |
| の礎石の形ではない。 |
| ここから金時山までは30分と標識にあったが、ハイキングの目的ではないので |
| このまま足柄城に引き返す。12:15足柄峠着。 |
| 行動時間 約2時間10分 |
| 第4回 現地踏査記録 |
| 日時 2003年11月2日 |
| コース 富士市(自宅)8:00 → 十里木街道 → 御殿場(川島田) → 国道246号 → |
| 萩原北 → 国道138号 → 市役所北 → 足柄街道 → 竹之下 → |
| 県道149号 → 金太郎・富士見ライン → 足柄峠駐車場9:20 → |
| 古楢尾砦 → 阿弥陀尾砦 → 古楢尾砦 → 通り尾砦 |
| 参考地図 1/25000地形図(関本) 現地住宅地図(ゼンリン) |
| 踏査地点 阿弥陀尾砦跡 通り尾砦跡 |
| 行動記録 今回は第2回に断念した阿弥陀尾砦の確認と通り尾砦の遺構を踏査することを |
| 目的とした。 |
| 9:20万葉公園の駐車場は満車で置くことができないので引き返し、足柄峠の |
| 駐車スペースに車を置くことにする。 |
| 9:30出発。通り尾砦を過ぎ、古楢尾砦着9:45。前回同様に北端の道から踏み跡 |
| を辿って入っていく。 |
| 10:00小ピーク上、地形図の776m地点であろうか。ここからルートを西の尾根に |
| とってしまい下りだしたのですぐに引き返す。尾根道は迷いやすいが所々現れる |
| 踏み跡をはずさなければ忘れたころに赤布も見つかり大丈夫である。 |
| 古楢尾砦から3つ目の小ピークに向かいもうしばらく薮を漕いで北に進むと、桧の |
| 樹林の中やや広い平坦地に出る。 |
| 平坦地というより皿を伏せたような感じであるが、ここから樹林の中を北へ向かう |
| 尾根と北東へ向かう尾根がうっすらとわかる。10:15何の標識もないが間違いなく |
| ここが標高780mの阿弥陀尾砦跡であろう。 |
| 曲輪と思われるスペースの北西側に下がった所、やや広い空堀跡らしき部分が |
| ある。そこから下はまた急斜面となり落ちている。空堀状の部分は北西側から |
| 西側に回り込むようにあり、南側は鋭く切れ落ちた谷となっている。 |
| 過去の調査資料が古いのか「標高といい位置的にも展望に優れ・・・」となって |
| いるが、今は全く桧・杉・篠竹の中で四方は方向すら見当がつきにくい状態で |
| ある。 |
| 10:35古楢尾砦に戻る。行きに苦労した分、帰りは尾根筋がわかりやすく意外に |
| 近いことを知った。10:50古楢尾砦を過ぎ11:00通り尾砦着。 |
| この尾根道を歩いての教訓は西側に入りやすい地形であり、阿弥陀尾砦手前の |
| 北西尾根の沢筋に下らず、意識して尾根の東側に向かいながら歩くべしである。 |
| 通り尾砦は万葉公園の中心部であり、その遺構はもはや掴みづらい。東側に |
| 立派な県道が通っており曲輪面には「四阿」が建っている。かろうじて曲輪面の |
| 北端を下りた所に大堀切が見える。 |
| 位置的にはもはや足柄城郭の一部とも言えるくらい、北方にわずか340mの |
| 地点であり、標高748mそのまま尾根続きの部分である。その北には先程の |
| 古楢尾砦があるが、ここへも約300m位で、その間曲輪面の北端下を大きく |
| 割った堀跡が北西側(大沢筋)への防備と見られる。 |
| 行動時間 約1時間40分 |